【講義ノート】「人類学B」2019/11/18

今週以降の講義で、婚姻や出自の規則から、労働や貨幣の経済人類学へと話を進めていきたい。

ひとつの事例として、メラネシアからミクロネシアにかけての母系社会をとりあげたい(→「オセアニア地域の概説」)。高温多湿な風土ではあるが、稲作が伝わらなかったので、ヤムイモ、タロイモなどの根栽農耕の文化が残っている(バナナなどの果物も主食である)。女性の経済的地位は高く、男性は政治的地位が高い。これは、日本の縄文時代(とくに前期〜後期)の文化と共通のルーツを持っている。

メラネシアのトロブリアンド諸島民は、人類学・民族学における参与観察の先駆者であるマリノフスキーの研究によってもよく知られている。マリノフスキーの調査は1910年代に行われ、その成果は、親族や婚姻についての研究『未開人の性生活』、交換と経済についての研究『西太平洋の遠洋航海者』などの古典的な著作にまとめられている。


トロブリアンド諸島は、ニューギニアの東端につらなる島々である

講義では、第二次大戦後のトロブリアンド諸島民の社会を描いたドキュメンタリー映像『The Trobriand Islanders』を紹介したい。



2019/11/18 JST 作成
2019/11/25 JST 最終更新
蛭川立