【講義ノート】「人類学B」2019/12/23

バリ島で撮影した映像が大量にあり、それを紹介しながら講義を進めていくうちに三週間目になってしまったが、そろそろひと区切りつけたい。


バリ島(ポイントはギアニヤール県プリアタン村)

先週の講義の後で、中村雄二郎の『魔女ランダ考』[*1]についての質問があったが、「演劇的知」の題材となったバロンダンスの映像を上映したい。WEBアーカイブ『世界観の人類学』の「バリ島民の世界観」に、1998年に撮影した映像をアップしている。ランダ(rangda)はジャワ古語で、中国語の「未亡人」に相当する言葉であり、子を守る/子を喰う、という母性の両義性をあらわしているとも解釈される。

引きつづき、世界の起源を説明する神話について、やはり「自然」と「文化」の二元論の形成という観点から分析する構造主義的な解釈を紹介したい(→「起源神話における時間対称性の破れ」「神話の構造(オーストロネシアと古代日本)」)。

象徴的分類にもとづく世界観を、二元論を超えてさらに発達させた社会もあり、その顕著な例として漢民族の陰陽五行説(→「陰陽五行の世界観」)をとりあげる。オーストラリア先住民の親族構造はさらに数学的な複雑さを持っているが、これについてはまた別の機会にとりあげたい。また、現代の文明社会における二元論とその反転についても触れたい。




2019/12/22 JST 作成
2019/12/23 JST 最終更新
蛭川立

*1:

魔女ランダ考―演劇的知とはなにか (岩波現代文庫)

魔女ランダ考―演劇的知とはなにか (岩波現代文庫)