秋学期の人類学B、二回目の授業です。
教材は文語体ですが、講義ノートは口語体で行きます。ときどき文法的に破格になりますが、それもライブ感のある口語ということで、よろしくお願いします。
宇宙的時空の中での人間
さて、人類学は理系の自然人類学と、文系の文化人類学の学際領域です。自然人類学の基本は、進化論です。
生物や人類の進化の細かいことはさておき、まずは、時間と空間のスケール感を実感してもらえれば、と思います。
人類学は人間を研究する学問ですが、人文社会系の諸学問に比べると、人間以外の生物も含めた、長く広い視点から人間を見る、というところが、ひと味違います。
オーストラリアでは、歴史学科の教科書に「ビッグ・ヒストリー」という本が使われていました。宇宙が始まったところから、現代の社会情勢まで、さらには未来を見通すという、新しい歴史教科書はかくあるべし、という一冊でした。
さて、宇宙が始まったのが、だいたい140億年ぐらい前だとされています。地球ができたのが約46億年前で、40億年前には原始的な生命が誕生していたと考えられています。
「宇宙的時空感覚—「Powers of Ten」と「Cosmic Calendar」ー」【五分あったら観てください】というページから、「Cosmic Calendar」という古典的な作品へのリンクを張っておきました。カール・セーガンという天文学者が自作自演した古典的秀作『COSMOS』というドキュメンタリー番組の一部分です。150億年(当時はそれぐらいだと推測されていた)の宇宙の歴史を1年にすると、地球や生物や人類の歴史が、どれぐらいになるのか、という教育的映像です。(ちなみに英語です。聞き慣れない専門用語もあるでしょうが、映像を見ていればだいたいわかると思います。)
生物の一種としての人間
地球外生命はさておき、地球上だけでも、数百万種の生物がいると推測されています。われわれ人間、ヒト、ホモ・サピエンスは、その数百万におよぶ種の中の一種です。
分類学的には、ヒトはどう分類されるか。以下の二ページにまとめておきました。「生物の系統分類と人間の位置」【ざっと見てください】と「サル目(霊長類)の系統」【ざっと見てください】。万物の霊長たる人間も、たくさんの生物の一種だという感覚がわかってもらえればと思います。