【講義ノート】「人類学A」2020/07/06

人類学Aの講義ノート、6月29日ぶんです。前日までにはという目標で作文中です。

先週は神経伝達物質のはたらきを勉強しました。今週は、脳の構造について、もうすこしマクロにみていきます。とくに、ヒトだけがとくに大きな脳を進化させたのはなぜか、というテーマは、自然人類学の中心課題でもあります。

ヒトだけが、というときには、他の動物と比較する必要があります。他の動物の脳の大きさと比較して、人間の脳がどのていど大きいのか、この、比較という観点は、人類学に特有のものです。人類学は人間を研究する学問ですが、他の人文社会科学と違うところがあるとすれば(浅く広くではありますが)他の動物と人間を比較するという視点です。

ですから、人類学を学ぶにあたっては、四十億年にわたる生物進化全体の中で人間の位置を定位することが重要です。

また中国の市場の話ですが、北京の市場からまた新型コロナウイルスが出てきた、出所はサーモンだ、といった噂が流れています。専門家は、ありえないと否定、などと報じられていますが、なぜサーモンがありえないのかといえば、このウイルスはもっぱら哺乳類の間で感染するもので、魚類や無脊椎動物とは関係がないからです。

人間として生き、人間中心にものを見ていると、人間と他の動物、という枠組みで見てしまいますが。新型コロナウイルスからみれば、哺乳類とそれ以外、なのです。だから、コウモリとヒトは同じ哺乳類で、サーモンは魚類だから無関係なのです。(コウモリは哺乳類です。)

生物の呼称について(追記)

ヒトとは人間のことですが、動物の一種ということを強調するときはヒトとカタカナで書きます。生物名はカタカナで書くというのは、生物学の取り決めです。「人」と漢字で書いても同じ意味なのですが、生物学的には「ヒト」と書きます。美しい「桜」や「すみれ」も「サクラ」「スミレ」と、あえて無機的なカタカナで書きます。



CE 2020/06/24 JST 作成
蛭川立